ぶくつき(ウキ)直し
2023年11月04日
クリーニング事故で時々ある事例です。
特に多い箇所は上着の前身頃で、洗う前はなかったはずのぶくつきがあちこちに発生する現象です。
これはクリーニング屋さんがメーカーのケアラベルに従って洗っているのに起こってしまう事故です。
原因は表の布にハリを出すためもう1枚、裏に布(芯)を縫い付けでなく 接着樹脂で貼られているためこの接着樹脂が劣化で剥がれてきたところがブクついて見える現象です。
通称「ウキ」と呼ばれています。
実はこの接着樹脂が問題で剥がれてきやすいものとそうでないものがあります。当然 一般の人だけでなく 専門家でも見分けがつきません。
10年以上経っても剥がれてこないポリエステル系樹脂もありますが、樹脂の製造から5年から10年で経年劣化現象が現れるポリウレタン系樹脂もあります。
後者のポリウレタンについては このブログで何度も書いてきていますが最も寿命の短い樹脂です。
だから様々なクリーニング事故を引き起こす原因となります。
この「ウキ」とよばれるぶくつきもその一つです。
洗う前になかったはずのこのような ぶくつきができて返されたら当然お客様はクレームを言われるでしょう。
この直し方は特殊な加工液をスプレーしてまたそこをアイロンすると一時的に直せることもありますが一度剥がれたところはすぐにまた 剥がれてきてしまいます。
またこの樹脂には2種類あって劣化してくるとベトベト、油のように表に染み出してくるケースもあります。これが最悪です! 全てとり除くこともほぼ不可能、弁証になってしまうことが多いです。 メーカーの指示通りに洗っているのにも関わらず手をかけてしまった以上、責任はメーカーからクリーニング屋さんに移行するという PL 法があります。
これは絶対に見抜けない!だから服に時限爆弾仕込まれているとしか思えません。
このベトベトしたケースだともう絶対に直せません、しかしそうでない ベトつきが発生していないケースならこれを直す方法があります。
それはういてきているところだけでなく全て裏から芯を剥がしてしまいその芯はそのまま切らずに置いておく。すると表からはぶくつきがなくなり、布の張りは当然なくなってしまいますが 芯をそのまま残しているのでさほど 違和感なくまた着られる状態になると思います。
ちなみに私はこのぶくつきによる事故を何度も直してきています。
今回の動画のケースはハイブランドです、洗ったらこの現象が発生していたので クリーニング屋さんにクレームを言ったら メーカーの指示通りに洗っただけだからと対応してくれなかったとのこと。
困ってケアラベルをよく見たら「著名な専門業者で洗うことを おすすめします」と記載があったので探してそこに相談したら 再加工してくれて 目立たなくなった しかし 一度着用したらまた ぶつつきが発生してしまったということでネットで調べられて当方にご依頼がありました。
私が解説し 直してお返ししたら大変喜ばれ「これでずっと安心して着られますね」とおっしゃられたので
「はい!これで一生ものになりました、次回 クリーニングされる時は今回の経緯を話されたら普通料金で受付けて洗ってくれると思います」と説明させていただきました。
洗濯表示の中に〇Wアンダーバー(写真)のような表示があったら それは メンテナンスリスク商品です このことは また改めてブログで書かせていただきます。
メンテナンスリスク商品が増えています。今回のぶくつき事故は氷山の一角です
ここを明確にしていくことがサステナブルファッションには絶対に必要な事でありメンテナンス業界のミッションだと思います。
ご参考にしてください。
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